満ちていく/kasai
て部屋の片隅に置きます
そんなことを繰り返しています
ずっと繰り返しています
そして、日々は穏やかに続きます
たまに憂鬱で
ほとほと迷ってしまって
どこに向かえば良いか分からなくなっても
どんなに笑っても、泣いても、叫んでも
本当は、覚えたくなかったものも
本当は、私こそが消えてなくなりたかった思いも
全部確かめて
全部全部抱きしめて続きます
そうやって、この部屋が満ちていくのだということを
確かめている途中です
私は確かめている途中です
それはきらめきも、匂いも、かたちも手触りもばらばらで
まるで季節の欠片に似ています
だからきっと、いずれ見えなくなる有様を私はまた覚えて
いつか『確かめたもの』として部屋の片隅に置くでしょう
できればそれが夏の欠片と同じように
浅く柔らかい雨に馴染んで欲しいと願いながら
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