白鷺と太陽/ヒヤシンス
 
としている彼の頭上は明るかった。
 私は久しく曇り空しか知らなかったことを悔やんだ。

 このところ太陽を見ていない。
 太陽は命の源だ。
 苦手だった太陽が今は恋しい。
 私は心の底から太陽を望んでいる。
 ああ、私の太陽は雲の上で私に微笑みかけているだろうか。
 子供の頃は考えもしなかった。
 今猛烈に太陽に会いたい。

 白鷺は飛び立った。私の目の届かない所に去っていった。
 私はこの一時の幸せを待っているのかもしれない。
 こんな小さな出来事でも人は感動出来るのだ。
 川は清らかに流れている。
 澱んでいた私の人生の流れも少しづつ清らかに流れてゆく。
 白鷺に見惚れ、太陽を待ち焦がれ、今日も生きている。
 人の人生とはそんなものなのかもしれない。 
 
戻る   Point(4)