白鷺と太陽/ヒヤシンス
としている彼の頭上は明るかった。
私は久しく曇り空しか知らなかったことを悔やんだ。
このところ太陽を見ていない。
太陽は命の源だ。
苦手だった太陽が今は恋しい。
私は心の底から太陽を望んでいる。
ああ、私の太陽は雲の上で私に微笑みかけているだろうか。
子供の頃は考えもしなかった。
今猛烈に太陽に会いたい。
白鷺は飛び立った。私の目の届かない所に去っていった。
私はこの一時の幸せを待っているのかもしれない。
こんな小さな出来事でも人は感動出来るのだ。
川は清らかに流れている。
澱んでいた私の人生の流れも少しづつ清らかに流れてゆく。
白鷺に見惚れ、太陽を待ち焦がれ、今日も生きている。
人の人生とはそんなものなのかもしれない。
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