カクテルドレス/藤鈴呼
串刺しにしたフォークの煌めきばかりが
目に痛いのだ
白い皿に乗せた料理が 一番綺麗ですと
教えられた
背景は 出来るだけ
シンプルな方が イイと
ああ だけど たまには カラフルな
ランチョン・マットも オツなモノ
あなたは 知らないでしょう?
眠り続けて
親指姫が 夢に出て来そうな瞬間に
ゆったりと 湯に浸かる
ああ そこだけが
わたくしの 居場所であると
言わんばかりに
たゆたう花びらは
もしかしたら 白いバラで
湯船は どうしたって 透明だから
白い皿よりは 上等に飾られた花びらが
これ見よがしに
誇らしげに
微笑んでいるようにも 映るのです
あの 泡の向こうに住む
御姫様のドレスが
どんな カクテルよりも 満たされていて
舌先で舐めた
ピリッとした 心地良さだけが
忘れられないのです
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