扉/
為平 澪
日、私は河へ身を投げる
私が溺れて泣いてると、父は扉を開け放つ
そんなことに疲れたと 、
私はいつか 鍵を河へ投げ捨てる
家は迷宮になるだろう
父は私のいる部屋を 探して探してさ迷うのか
この家の一番奥の深い深い暗い部屋
その扉を見つけたら 父は戻ることはない
誰かが父のいる部屋に鍵をして 河の水を入れている
家は扉を 片付け始めた
私は父の背中に「入口」とも「出口」とも
指でなぞれないまま ただ茫然と立ち尽くす
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