子守唄/深夜の霧は罪のように 明け方の雨は幻のように/銀馬車でこい
*
夜の都会のすべて
黒い空だとしたら
すべての罪は
電気か幻だろう
罪があっても許されて
生き延びている命に
霧は 暗闇よりも深く
伝記にあらわされた或る人生にも
何らかの罪状が捧げられて
詩になるかもしれない
電気と
命になるかもしれない
電流で
出来た霧は
そう云うような霧は
きっとあらゆる罪を
隠しながら
夢の中の道の果てへと続く
深夜 誰かの寝息は
生まれたばかりの命に
罪がないことを伝えながら
すでに海中に沈んでいる
帆船を背負いながら走り続けて
脇を小さな魚が泳ぎながら
星はもう見えない黒い空
追い越していった
暗闇より速く魂 眠れ
*
深い霧は 明け方には
幻の冷たい雨へ
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