子守唄/深夜の霧は罪のように 明け方の雨は幻のように/銀馬車でこい
 




夜の都会のすべて
黒い空だとしたら
すべての罪は
電気か幻だろう
罪があっても許されて
生き延びている命に
霧は 暗闇よりも深く
伝記にあらわされた或る人生にも
何らかの罪状が捧げられて
詩になるかもしれない
電気と
命になるかもしれない
電流で
出来た霧は
そう云うような霧は
きっとあらゆる罪を
隠しながら
夢の中の道の果てへと続く


深夜 誰かの寝息は
生まれたばかりの命に
罪がないことを伝えながら
すでに海中に沈んでいる
帆船を背負いながら走り続けて
脇を小さな魚が泳ぎながら
星はもう見えない黒い空
追い越していった
暗闇より速く魂 眠れ



深い霧は 明け方には
幻の冷たい雨へ

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