巡る天体/Seia
まづきそうになる
終点
そして
太陽は出てるんだけどね
正しい携帯電話の使い方をして
軽く急ぎ足のひと
すれ違うひと
ふたりにひとりは
視線が上を向いている
このまま晴れだといいんだけど
さっきのひと
往復してるのかな
鈍い音
肩に柱があたる
砕ければよかったのに
どちらかが
ジルコニアの
横を通ってドアを開ける
雨はもうふっていない
かわりにたっぷりとした雲が
飛行機を飲み込んでいるところだった
期待はずれの顔が
ちらほらこちらに向かってくる
外は溜め息で生温かい
それじゃあまた
声は遠くなり
耳鳴りがやまない
二百八十歳のわたしと重なり
見上げた空から
最後の一滴
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