まほろば/レタス
 
滝壺の向こう側にその世界は在った
とうとうと清らかな水が流れ
樹々には瑞々しい木の実がなり
人々は思い思いの楽器を鳴らし
踊りながら行列を成していた
ぼくはあっけにとられ
立ち尽くしていると
少女が桃の実をくれた

その少女の顔をよくよく見たら
それは私の母だった
母は此処に生きていた

また少年がラッパを私にさし出し
吹いてごらんと言った
それは
父だった

此処は永遠の都
過去と未来が錯綜する世界
幻ではなかった
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