まものみち/あおい満月
手のひらが血で真っ赤に染まる。
血で染まった手のひらから、
声が聴こえてきて、
手のひらは文字だらけになる。
文字が黒い虫になり、
私は払いのけようとするが、
文字の虫は毛孔から次々と這い出し、
私を埋めていく。
白い壁だけが大地になって、
静まりかえる。
*
(その手は魔物にとりつかれている)
誰かにそんなことを言われた。
私はうれしくてほくそ笑む。
魔物の足跡で囲まれたこの部屋には、
魔物を誘き寄せる白い壁がある。
今でも白い壁は、
ぐつぐつと魔物を生み出す瞬間を
狙っている。
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