気付きの刻/たけし
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一億年前の花崗岩から一斉に飛び立つ無数無数の蝶達の羽音!
眼下には青い海が青空に遠く溶け広がる!
吐きそうだ、吐きそうだ!
奥まる意識に揺らぐ体幹を真っすぐに正し、
部屋を飛び交う無数の光る粒子を視界に捉える。
在るのだ!
タオルが 洗面台が 銀の蛇口が 棚が チューリップが 電動シェーバーが 壁が 本が 小机が
それぞれの造形を自ずと意志して保ち
私の内に 内の私に
しっかりくっきり異様に繋がり在る!
わたしはゆらゆら揺れながら窓際に立つ
足踏み網戸のその向こう
盛り上がった薄暗い雲が突端を白く光らせ天空山脈を形造る
視界に響く鼓動は早鐘、繋ぎ留める
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