ニコチンよ永遠に/アラガイs
 

依存性とは外的な要因が大きく作用してしまうものである。いくら遺伝子の魔術によって勧誘されようにも、実際に巡り合わなければ誘惑されることもないのだ。

澄んだ青空のもとで長時間待たされる。これは喫煙者にとっては苦痛だ。それが病院のような施設ならば諦めて我慢もできる。一方的に禁じられているからである。ご承知のように、いまでは駅前にも駅の構内にも喫煙する場所は皆無だ。それでもプラットホームに出れば、遥か向こうにぽつんと円錐形の灰皿が淋しそうに置かれてある。その一服を味わうために、喫煙者は真冬の木枯らしが吹き付けるなかを、とぼとぼと肩を竦めて歩いて行く。…まだ喫煙をしているのか…蝕むばかりの白い
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