スベトラーナ春に酔鼠/アラガイs
鼠夜桜ひきつれて
にぎやかな繁華街を抜ける
路地は大小二つに分かれ
月を眩ませる
再び斜影/方に肋膜の炎
告知する薄墨色
派手な更紗を纏う老婆を気にとめた
絵柄のカードをなにやら詠んでいる様子
紅紫の唇が興味を引いたが
焦り通りすぎて行く
老婆は長い付け睫毛をニタリ
黒いショールを振ると私を二度みやる
小さな路地裏を歩く
敷居のない庭先
石畳をコツコツと鳴らす音
春には海がながれ
秋には山がしおれる
椿にひっそりと苔咽ぶ首塚
奥へ奥へと片開きの戸口が並ぶ
狐が尾をたてる
格子の窓は開かず
…我が庵はつれこみ宿と人はい
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