少女の物語/独奏
 

生きて行く手段は水しかない
幻を見始めたのもその頃だった
大好きなあの人が毎日殺しにくる夢
眠ることも許されなくなった
少女は安心を求めるために手首を切った
赤い血は全てを忘れさせてくれた
それから夜が訪れる度に
少女は手首を痛めつけた
赤い血を見つめて眠りにつく
すると見ていた夢はハッピーエンドになっていた

楽しんでいくとは苦しむこと
少女は本気で考えていた
手首以外に楽しむ方法を
見つかったのは闇がかかった霧のようだ
味を覚えてしまった
少女はもう抜けることができない
足はどんどん埋まっていく
少女はそれに気がつく事なく
今日も夜、手首の赤を見て眠りに
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