アイオンスはないてない/村乃枯草
 

わたしの話題を切り出すのに苦労した

「ねえ、彼等はどうしてアイオンスがなくの
を待っているの?」
「彼等にとって大事だからだ」
「大事だから出し惜しみしてるの?」
「吾にとってはどうでもいいことだ」
「アイオンスは鳴くの? 泣くの?」
「見た人間が決めることだ」

直後にアイオンスが
五本目の足と二本目の尾を打つと
後ろにかまいたちが起こり
アイオンスの毛皮に赤い血がにじむ

「つまらんことに答えるといらだつ。鎮める
には身を削るしかない」
「どうして牢をやぶらないの?」
「外で生きていけないからだ」
「なんでも知ってるのに?」
「餌の捕り方は知らん
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