俯角の心臓/北街かな
れ電線もちぎれ
落下につぐ落下のなかで
にぶい音が燃え広がっていくのを聞いた
いつまでも解決されない不協和音が
海のそとを支配している
よどんだ地面をゆきずっている
明るい明快な旋律に混じって
足裏のしたに隠された苦しみが
心臓の群れを
支配している
落ちたのか溺れたのか気絶したのかも不明瞭なまま
見あげた空の嘘くささに愕然として
冷たい画面を指で伝い這いあがる
落とした心臓はふかくわたしの底にある
引きずりだす手首の角度が三日月みたいで
指先が落ち着かなかったから
爪をふかく切った
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