考える愚人たち/銀馬車でこい
一段
これが何億キロメートルの
高さなのか
測り知ることもない
その高みから
のっぺりとした
呪文を投げかけ
睡眠を妨げるのだ
食前酒の酔いは
ゆるやかに廻っている
だが その酔いは
決まって睡眠へとは
いざなわない
考える愚人たちは
きっと呪文によって
赤い瓦礫の山を
築いてしまうことだろう
けれども
また酔いは醒め
奇跡は起こり
その一瞬に
きらきらと白いご飯の
一粒が光るのだろう
これは
本にも書いてあると
誰かがが言うだろう
そこには「酔夢」
って書いてあった
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