煙突と月見うどん/nonya
 
と冬休みの日記帳のネタであり
いくつかの想い出も作ったような気もするが
もしかしたらただの妄想なのかもしれない

やれやれという感じで踵を返し
逃げるように出口へ向かっている時
「讃岐うどん」の懐かしい暖簾が目に入った
なくしたジグソーパズルのピースが見つかった
慌ててすがりつくように列に並び
月見うどんを注文した

巨大な円形テーブルの端で
うどんを一口すすって頭を上げる

真正面には真っ白な煙突

もう一口すすろうとして
うっかり箸の先で月を破いてしまう
どんぶりの中の月明かりが夕焼けに反転して
もはやこれは月見うどんではない
仕方なく夕焼けをすすって頭
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