輪廻の中で/レタス
ぼくは妻と子を捨て
近くの森の広場へ行った
山積みの廃棄物の一点に
赤く点滅するボタンスイッチが誘う
押してしまえばこの世が終わる
震えた指が誘われ
想い出が身体を駆け巡る
どうしたら良いのか
ぼくにもわからなくなって
ボタンを押してしまった
刹那に後悔が襲ってきた
これでお終いはやって来たのだ
泥沼にとろける魂と混じあいながら
吐き気はおさまることもなく
後悔だけに苛まれ
もう戻らない世界に憧れた
永遠の泥沼にあえぎ
地獄を知った
天空に白い光の筋が走り
いつの間にか
ぼくは天空に掬われて
三人の聖者が優しく頬笑み
柔らかなオレンジ色のベッドに移され
眠りを誘った
やがて苦しみの中に空を仰ぎ
小さな命は再び生まれた
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