師走の皺/もり
 
だ本もめくらず 脱ぎ捨てた革ジャンを押しのけ 風呂にも入らず バタースティックとコンビニのチキンを水で流し込み 胃痛激痛を抱え こたつに包まれ 床にへばりつき眠る それでも忘れられなかったのは
愛する存在の少なさと
愛すべき存在の多さについて
羊に近づくと そのケモノ臭と
唾液が絡みつき、
乾いた毛並の汚しさや
相当に濁っているその目に、
後悔よりも、あたたかな諦念を
抱いている
自分がいた。

(羊が6084匹────

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