踏み荒らし/高原漣
 
た時はもう

見なれた死神の

満面の笑顔がそこにあった

錆の浮いた道具に

弾をこめたあとはもう

吹きすさぶ風と同じだった

消灯!消灯!

灯火は消えていく

赤、青、黄色のランタンが

黒い水たまりの上で踊っていた

一つまた一つと大きな銛で刺し貫かれ

狂った花火に変わっていく

われわれは交響曲のなかを

音もなく走っていった

ひとだまを踏み荒らしに

ただ走っていった
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