銀河鉄道の裏/一筆
振り向いた寂しい目が精一杯に訴えていた
何が言いたいのかすぐにわかってたけど
目をそらして気づかないふりをした
誰も知らない二人だけの秘密だと
約束したから何も言わない
遠い海へ船出した君の「お父さん」が
若い頃の僕の父だとか
病気で寝たきりの君の「お母さん」が
とっくの昔に病院で亡くなってるとか
そんなことはどうだってよかった
君はただひとりで牛乳を配り
夜遅くまで活字を並べ疲れて教室で居眠りする
君は自分の言葉だけを信じてる
真実がどうかなんてどうでもいい
祭りの夜に僕が受けた罰は
よくある美談にすり替えられていた
暗い川の水に溺れながら
舟にすがりつこうとす
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