萼(がく)/ayano
の音 その肩をそっと押し倒してきゅっと首を包んだこと
一瞬にして髪の毛なんてぐしゃぐしゃになった
僕はなるべく籍を入れるような真似はしたくなかった 一緒にいたくなかったわけではない
様々な理由…過去が原因であるとしか思えない、辻褄などとうに合わないし あきらめもある
胸が苦しくなるような拒否反応が絶えずつきまとっていた 僕には無理だという呪いがもうずっと解けないままだ
きみが大人になることを考えてみれば 僕のほうが過去にいた
無防備が災難を招いて、勝手に傷つく性質で 放っておけないのは事実
声をかけてやれないこともまた事実
「僕のほうが」
思い上
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