いつかのアキバ/番田
秋葉原をうろつくようにして
私は 一人 歩いていた
昔手にしたことのある商品の思い出を胸に
日の それは 暮れかけた 午後だった
冬の もう 近づいた寒い日
メイドたちの立つ 足も震えている
私はフィギュアショップに 入った
しかし知っているキャラはそこにはなかった
私がこの街でパソコンを 買った日
あの頃は数えきれないほどの人が通りにはあふれていた
違法ソフトを売るような出店もとても繁盛していた
今では もう 考えられない事だが
ウェブによる通信販売はこの街を破壊したのだった
それは同時に 商品の画一化を 人々に気づかせたのだった
どこの店でも入ればそこには同じ商品が売られている
違うのは値札がはられた 価格だけだった
駅前に建てられたイベントホール
それは一体この街の未来の何を占うのだろう
何も それは 占いはしないだろう
何も占わず ただ それは そこにあるだけのこと
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