チューしてあげる/島中 充
「さようなら、平井さん。ごめんなさい、 柿、食べたよ。」今度は、大きな声でさん付で名前を呼び、聞こえるようにはっきり言った。
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それから四十年、今日の新聞に府会議員の立候補者の履歴と主張の書かれた政見の広報が入っていた。平井 ケイコ。*****からの立候補。ケイコは前年亡くなったおとうさんの後を引き継いで立候補したのである。
ぼくはクラスで数人しか行くことのない名門高校に進んだ。そこでケイコと再会した。ケイコがどのようにして勉強ができるようになったか。どのようにしてうりざね顔の美人になったか。そして松の木によじ登り、チューしてもらうぼくたちの麗しい青春の話は次回にしよ
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