核家族/為平 澪
けた
もう誰も舟なんか作ろうとも思わなかったし、
もし舟が出来たら一部屋に一人いなくなった人から
夜の間にそっと乗せて 水に流してしまいたかったから
部屋は常に護られていた
オートロック、一人の食卓、冷暖房完備、パソコン付きベッドハウス、
まるで、用意された一人用シェルター
だからいつか 爆弾が落ちるよ
家族中で用意した大きなシェルターに似合うくらいの
核分裂を繰り返す 大きな大きな爆弾が
今日も晴れた日の どこかの空から落とされて
家族の表情は止まったまんま。
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