黒い道/ヒヤシンス
、心よ、そして言葉よ。
黒ではなく真っ赤に染まってくれ。
すべての成熟した人間の内側には黒が潜んでいるのだろう。
そして最後には黒く燃え上がるのだろう。
キャンバスに描く黒はすべて偽者だ。
そんなものじゃないはずだ。
黒より赤が良い。
赤く熟したトマトを壁に向かって思い切り投げつけて
ぐしゃりと潰れて、飛び散る赤い肉片でありたい。
赤い鮮血も乾けば黒くなる。
結局黒からは誰も逃れられないのだ。
それぞれがそれぞれの人生を眺めればそこには影よりも黒い道筋が見えるはずだ。
人はそのときどんな言葉を発するのだろう。
やはり私の人生は黒かったなんて軽い言
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