夜行ヘリ/やけのはら/茶殻
紀を跨いだ大衆の未来のために。
那由多の瞳を持ち寄ったエキストラが放射状に散り行く瞬間はまさに
自由の寓話だ、壮観だ、凡庸な生死だ、
この路地に伸びる影は捨てる神か拾う神か、
分水嶺の先に待つのはヘルメスかタナトスか。
あなたの穴も私の穴も
一輪の花を活けるために閉じているはずもなく、
ゼロの次に待つのは幾分大きなゼロに違いない、
私は腸の中を歩いているのではなく
無限を生きるいくつもの原子たちを目送している産道の襞に過ぎない。
瑣末な衝動の連続が転調を招き遺伝子の渦をミラーボールに変える。
くたばってしまえと罵られて
本当にくたばってしまう人たちの滲む灰色の街に広がる
藍染め敷き詰めた美しい闇夜から
私が抱く二十世紀を散骨しよう、
それが宝玉の慈雨になることを願う。
東京の空を飛ぶ、明日にでも、鍵を握って。
戻る 編 削 Point(3)