光のプラットホーム/ありか
彼女の香りは赤血球にとてもよく似ていた
脳裏にある別の駅だろうか
列ができており
並べなくて泣いているのは
もう 踏み出せない――
足は別個についていて
そうだ列車を 列車を待っていたはずだった
血は 血は どこにだってとんでいく
人はいつもなにかを待っているから
発車のベル 息をはずませかけつけた
客がまばらのプラットホーム
普通に現在時刻を告げる時計
飲みこんだ血液に酔ったまま乗車する
窓から射す強い光につつまれて
角をなくしてまるまった音楽に
揺すられながら切符を千切る、蒼白い顔で
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