秋の詩篇/山人
 
り、瞬きが繰り広げられている
時折吹く、秋風
その静寂と、闇と星の奏でが、風に乗って、鮮やかな夜を作り上げている
闇は無限に広がり、空間がとてつもなく広い
地球の上に寝そべって、無限の夥しい天体を眺めている
このときこの瞬間、私のあらゆる全てを許すことが出来たのだった

   *


何かに怯むでもなく
すべるように過ぎ去る時間の刻々を様々な車達が疾走していく
それぞれが無数の生活の一面を晒しながら、県庁へと向かう一号線を走っている
土手に築かれた車道から傍らをながめれば
すでに刈り取られた田が秋空にまばゆく
どこかに旅立つようにたたずんでいる

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