取り返した靴/Neutral
 
いる
その事を思うと
強がりな僕は理屈の収束などつけられず
大きな声で叫んでいた
あの人には僕がいなきゃダメなんだよ
その瞬間
虫の群れはパッと消え去り
暗かったはずの空が
みるみるうちに昼間の明るさを取り戻した
スマホを持っている事を思い出した僕は
自宅の住所を検索し
目的地までのルートを表示する
僕は名も知らぬ村に背を向け
歩き出す所で目を覚ます
ベッドから上がり部屋を出て食卓へ向かうと
母が居て僕が居た
そうだ僕は夢の中でずっとこれを探していたんだ
僕は おはよう と 行ってきます を言うと
暖かい笑顔に送られて駅を目指す
僕の選んだこの道はきっと
あの夢の続きへと繋がっている
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