黒い峠/藤山 誠
 
冷たい風が吹き荒ぶ
草木が千々に散り乱れ
砂利道が静かに佇む
まるで行く先に助くるものなし

太陽の光遮られ
茶色い枯れ木の重なる下に
そこかしこに闇が佇む
まるで行く先に営むものなし

湧き出でる白い霧
数歩先の道すら見えずに
四方八方に影が佇む
まるで行く先に宛てもなし

ここは黒い峠
下足も履かぬ冷たい足で
今日を越えて行く
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