いのちの組曲/レタス
 
天体から産み落とされた丹色の液体を孕んだ肉体は
素粒子の集合体だった
解体されるのも時の問題であって
簡単に片づけられてしまう
残されるのは凝固したモノクロ写真だけかもしれない

土の色
海の色
空の色
葉の色
レモン色
夕焼けの色
雲の色

全ては色彩を帯びて私を包み滅びてゆく
当たり前のことがうらめしいような
どこか哀しいようで
私は様々な余計なものに走る
いくら暴れようとも滅びは訪れるのだから
産み落とされたからには戻れない
時という槍を携えて進むだけしか残されてはいない

輪廻を信じるか否かは個人の問題であって
どうと言う事でもない
森羅万象は様々な様相を呈しているから
天国も地獄も己の中にある
哀しいことなど何もない

美味い物を食べ
不味い物を食べ
紅い血を作り続ける
やがては寂滅の地平線に吸い込まれてゆく
怖れることは何もない
寿命が延びたからといって昔も今も変わることなどありはしない
ただ産み落とされて消えるだけ


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