二大銀河間におけるくじら式転生輪唱のすべて/北街かな
前も決まっているんだ
年にいちどの葬送のおまつりの夜には
ぜんぶの海で盛大に生誕が祝われると聞きました
音とともに宇宙へと埋葬されていく哺乳類の葬列は
すべてはくじらの想いのままにされるがままでありましたが
光とともに地上にて目覚めていく恒温の命は
ぞんぶんに泣いたり叫んだり暴れたりで大忙しなのでございます
祝辞は海面と大空の隙間で反響し続けている
途絶と開始の歌は交互に
可能な限りの可能性を遺伝子に与え続け
宇宙の大きさが決まる未来まで
虹色のくじらが海面を埋め尽くすまで
地球星が音波の噴水に覆われるまで
生まれ変わるたましいが尽き果てるまで
続いていくのです
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