朝の日記 2015夏/たま
と思う
飛んできたのは虫ではなくて麦わら帽子だったのだ
七月下旬のこと
スイカ畑には大玉スイカが六つも育っていた
やれやれ、
これで今年は人工授粉の恩恵にあやかれると思った
ところが、残念なことに雨が多すぎたのだ
大きくても甘味が足りない
やはり、冷夏だった
夏は来ないといけない
でも、夏が来ない年もある
わたしの人生に夏はいくつあったのだろうか
足りないものはいくつあったのだろうか
すばらしく簡単な夏
すばらしく簡単なしくみ
簡単に生きられないわたしは
やはり、そんな夏が好きなんだと思う
もう二度と帰らない夏たちが懐かしいけれど
それでいい
また来年、会えたらうれしい
畑はいつか枯れるもの
惜しむものは何ひとつない
それがいい
すばらしく簡単な人生がいい
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