稲妻市へ/手乗川文鳥
 
ね返している
あちらこちらへ無軌道に跳んでいく三歳児のキャッチボールが
園庭の砂埃の中で笛の音に合わせて行われている
ほとんどリズムを無視して
やわらかいボールがとびかう
そして上空から音がして指をさす
しんかんせんやー
白い流線型の乗り物はすべて新幹線で
彼女は今から飛んでいくわけだ

いまからどこへ行くの
さんだー!

サンダー

電撃は
かつてわたしも感じていた
ふるえることを頼りに走ることは勿論覚えている
そしていつも一人だった
わたしは、だれもかれもの言葉がわからなかったし
だれもかれもが、わたしの言葉をわからなかったから
いまではその意味がわか
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