空っぽについてのマニュアル/梅昆布茶
 
きみの取扱説明書をみつけた
ちょっと古びて
もう保証書もどこかへいってしまった

皮膚を剥いでゆくように
すこしずつものを整理してゆく

基本性能だけでいいのだ
死ぬまでにデフォルトの状態にもどるのが
たったひとつの目的だ

ものごとは流速のちがうものの
並列競争みたいなこと

このごろはだんだん引き出しが
からっぽになってゆく快感が好きになってきた

なにかで満たそうとしない
必要がなければからっぽでいい

そういった空間がこころのなかにたくさんあればいい

すきとおった風がとおるだろう

いつか重力から解放されるまで
流星の破片に突き刺されるままにいきてゆく

たぶん僕のマニュアルは
永遠にひつようないのだとおもう





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