ひびがはいるまえに/
Seia
セミの上半身だけが
おちていました
体内に抱えていた
音は開放され
世界が
せかいのすべてが
共鳴室になったのです
ふるえるのは木々
波はゆらぎ
やがて雨を降らすでしょう
それは
夕立のはじまりでした
ぽつ
ぽつぽつ
そのあとのことは
窓ガラスが
いずれ教えてくれるはずです
ひびが
はいるまえに
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