神隠し/為平 澪
 
んだ父の変わりに甦り「 生存給付金のおしらせ 」として
父のような顔をして家にやってきた

多くの書類、封入された御仏前の抜け殻、法事の残りの熨斗紙
区役所たち死んで尚、父を管理しては紙幣で買い取り
手から手へと取り引きしながら橋渡し

   ( 施設も、付き合いも、契約内容も、法律も、
   ( 知ったもん勝ち、使ったもん勝ちなんだよ、
   ( しっかり読みなよ、自治区の広報。

赤いA4ファイルの回覧が怒鳴りながら
ほとんど毎日出歩きまわる

挟み込まれた広報便りを 老眼鏡でも読めない母が
広報に丸め込まれて潰される

重要箇所の小文字の隙間 煙に巻かれて挟まれて
神隠しにでもあったのか 母が回覧板を持ったまま
出て行ったきり 家にも帰って来やしない

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