ユートピア/竹森
ク柄の戦争が、一着。
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◇ 年号はきっと平成
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「 棺桶いっぱいの水を攫いにいこう 」
12月でも、10月でも構わない。「―――ほら、こうやって」夕暮れ時。一斉にカラスが飛び立って、電波塔のざらついた鉄筋の地肌が明らかになり、これまで君に宛てられていなかった文章までもが一斉に君に宛てられるという瞬間があって。僕らは、それを恋と呼んで片づけられたいつかの単純さで、勇敢さで、愚かさで。何度でも。覚えては。思い出しては―――
Title: 金星の子供が、とうの昔に、読み終えている
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