「白雪姫とベンジャミン」/
ベンジャミン
かすかな声が、白雪姫を包んだのです。
やっと聞き取れるほどの、それはベンジャミンの声でした。銀のナイフを胸に通したとき、ベンジャミンが呟いた言葉、それが盃に記憶されていたのです。もしかしたら、それは魔女の魔法なのかもしれませんが、だとしても、今この瞬間は善悪などの隔てもなく、ただただ月明かりに照らされた二人が美しいだけでした。
ベンジャミンの呟いた言葉が聞こえます。
あなたにも、もう聞こえているのです。
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