中原昼夜逆転/あおば
 

大学での彼は、授業は余り出ないで資料を
借りては読み耽り、いつの間にか昼夜逆転が
完全に成立していた
時々、昼間活動しなければならないときは
徹夜明けの眠い眼をこじ開けて出かけることなり
苦役と感じるようになったのだから
恐ろしいものだ
資料を読み耽り、その道では知る人とぞ知る
存在になっていたが、原稿依頼は滅多にない
あっても、現金ではなく、掲載誌25冊とかでの
現物支給、もとより、文学仲間は多くないので
大半は畳の肥やしのように部屋の隅に堆積され
数年後、アパートを引き払う時に、
リサイクルゴミとして一括に処理された
評論家では食べていけないし、大学は単位不足と学
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