白の誕生日/光冨郁也
れずに、
生まれたときと同じように、
雪が降りつもらないかと。
二年前からある、
パソコンの、
インターネットをしていた、
ディスプレイの脇、
(会ったことのない)
文通相手から、
はやめに届いていた、
チョコレートの、
紺の箱を、斜めにたてる。
そばの、
CDコンポから、
静かに音楽が、
エンドレスで流れ、
白い封筒に手紙を入れる。
二年前からあるパソコン、
昨夜、ネットをしていた、
(だれの顔も見なくてすむ)
ディスプレイ、
ワープロソフト、
点滅するカーソルを、
しばらく見つめつづける。
わたしは、
この身につもる、雪を待つ。
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