或る米軍少佐の終戦回顧録/りゅうのあくび
 
していた
子供たちは蝉のように泣いていた
人も街も生垣になって
多くの血も涙も流れていた

民衆は神々になって戦った
戦争は神々になった
民衆のこころが起こした
民衆が悪くはない
日本人のこころが悪くはない
正義があったとしても
無かったとしても
民衆には力が必要だった
民衆に力が無いので戦争を起こした
知恵と力のある神々がいた
軍規と兵器を司る神々がいた
神々は民衆に力を与えた
民衆は力をもたらされて
戦ったのだ
武器を持った

少なくはない
戦犯とつながっていた
政治犯や
経済犯がいたはずだ
戦争のなかで
戦争を商いにする人間がいたのだ
戦いのなかにあって
戦いのそとに逃れることで
民衆が戦わなくては貧困にあえぐなかで
国益を私物化して
自らの保身と
利益を追求する人間がいたのだ
そのために
たくさんの民衆が死に
多くの神々でさえ死んだのだ
昭和憲法は民衆による犠牲を
無駄にしないために
必要だった

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