雨音に乱世の来し方を思う/りゅうさん
 
梅雨のしとしと降る雨が

臓腑の傷にしんみり沁みる

私たちは…致命傷が致命傷でなくなる時代に生きている

この白い錠剤

これは明らかにこの国で作られたものではない

ここの民はそれほど効率的な拷問具を発明したりはしない

異国のお薬によって王が薬殺された

その知らせを聞いて異教徒が反旗を翻した

賤王の下では世は治まらぬ

これはマクベスの教訓だ

今の世はたとえていうなら

頭を失って手足のみで動く木偶人形

だが、致命傷はやはり致命傷なのだ

王の首はここに転がっているよ

世界の混乱の、たわいもないたとえ話である

而してその首はまだ思考しているのだ

ここに取りに来なさい ポタポタ




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