Flower/感謝/桂
達
二階の両開きの窓が開いて
長い黒髪の少女がいう
「あなたはそのままでいいの」
嬉しいくせに
「同情なんていらない」
そういって差し伸べられた手にトゲを刺して 夜な夜な一人泣いた
朝起きたらこれは朝露だといって誤魔化した
そんな日々を繰り返していくうちに
つぼみの中で膨らんでいく想い
溢れ出して色とりどりの花が咲き洋館を彩る
一番高いところで咲いた花は
フェンスに絡まったすべての結び目と
窓の外から顔を出して微笑む彼女を見下ろして照れくさそうに呟く
ありがとう....
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