ロクデナシ/為平 澪
 
ならなきゃ、意味がない―― 
 僕をいつもそうかりたてるものは、人々の賞讃の言葉と羨望の眼差しと母の言葉だった。 
 「泉、なんでもいいから良いことで一番になってちょうだい。泉は何でも良くできるしとってもいい子だもの。母さん期待してるわ・・・。」 
 下校途中の車内の中で、何度も聞かされた言葉だった。僕は幼な心に、 
「母さん!僕が一番になったら誉めてくれる?」 
と満面の笑顔で尋ねたことがある。すると母は、誉めてあげるとは言わずに 
「泉が世間で有名になったら、みんなをビックリさせて、父さんの借金を全額返済してあげてね・・・。」 
と、僕の方を見ずに言った。 
 僕の父は、長
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