3度目の/亜樹
 
年の年月を過ごした君よ。
 貴方は多分、私のように、不安で寝れぬ夜を過ごしたことはないでしょう。
 痛いほどに鼓動が早まり、大勢の他人の前で、滝のような汗を流したことも。
 狩られ、殺され、美味しく美味しく食べられた、ドードー、リョコウバト、ステラーカイジュウ。
 その狩人たちがもろ手を挙げて叫ぶ動物愛護と自然保護。
 自らの後ろめたさに背を向けて、違う誰かをことさらに糾弾するあの団体が
 私は嫌いでなりません。

 ジョージ、君がいなくなって、三度目の夏です。
 何をどう喚いても、ちょうどよく傾いたまま、大地は止まらず回っています。
 どれだけ時間が過ぎ去っても、もう二度と君には会えない。
 ガラパコス諸島に憧れることは、もうないでしょう

 ああ、ジョージ。ピンタゾウガメとガラパコスゾウガメの違いなんて、きっと君は知らなかった。
 卵が一つも孵らなくても、孤独と、無縁だった、あなた。

 一人ぼっちなのはいつだって、ゲージの外に、いる私。


  

 
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