白猫/梼瀬チカ
 
店の中を見ると
機能はクオーツの
古びたアンティーデザインの
柱時計の振り子が
行ったり来たり
いつも通りの
いつもの時刻に
くり返し人が行き交い
くり返し列車がすれ違い
くり返し行き交う人の群れが
くり返すアナウンスを

この都市の日常はいつから始まったのか?

巡る四季にあわせて
風景は何度もその度に薄れて
ぼやけてはまた四季を巡っている

私は考えを追っている
今日淡い色のセーターを出そう
白猫が丸くうずくまっている

私がいつもの時刻に
いつもの場所で
くり返す時間の営みを止めた時
私は何を見たと言えるだろう

私は考えを追っている
出よう 出るんだ
白猫は瞬時に走ると
街の辻角へと消えた



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