ある妖精編/梅昆布茶
 
まみにする

ドラッグと酒で死んだだろうジムモリソン
渋谷駅前の飲食店の二階席で女性と話し込む
混血の黒い青年

すべてが遠いと
書き残して消え去った
60年安保の左翼の闘士だった先輩

日常をドリップしてみる
汗臭いシャツと日向に置き去りにされたマイナスドライバー
チェシャ猫とアリスのあたたかい蜜蜂入りの紅茶
(こんなの飲めるの?)

インターネットコンテンツの森のなかで
子供達と葬った仔兎の眠るいまはなきイヌ森を想う

大井競馬場で次の出走を待ち構えている
血統と成績のわるいでも美しい四つ足のランナーのように
燃え尽きるまで駆け抜けようと想った










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