まだ決まってない/knit
だと
わたしは思った
呼ぶ声はする
誰もが振り返る
誰もが
その声が自分を呼んでいると思う
その声が
自分以外のすべてを呼んでいると
知っている
庭先の樹に
今年も鳥が巣を作った
誰かがわたしに伝えたいことがある
知らなくてもいいことを
わたしは知りたいような気がする
ヒナが親鳥の姿を見て
餌をねだる
遠くで森が燃えている
それは私たちの故郷
燃え尽くされた木々の間から
空や太陽が
いつもと違って見える
それはそれで構わないと
私たちはぼんやりと
信じはじめている
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