花の殻 湧く、次々と/ヨルノテガム
 
 幽霊が立ち上がる
  幽霊が椅子に腰掛ける
  それは暗がりにティーカップを持ちお茶をすする
  それは透明に近く、持っているそれも透明に近い
  幽霊は美人で若く白いワンピースなどが似合うと
  なおよい
  幽霊は恨めしげながら肉感的なバディの主張を
  押さえきれないなら、なおよい

  それは立ち上がり
  それは別の椅子にまた腰掛ける
  幽霊はしばらくして別の女幽霊の友だちとおち合い
  店の外へエスカレーターに乗るように
  スーっと出ていった
  おしゃべりのひとつやふたつ、賑やかなヒールの
  足音がしたのかもしれなかった




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